ラップ道:三連符・三連フロウの意味とやり方

トラップミュージックで多用され、2017年頃にメインストリームを席巻した三連符(トリプレット)。スヌープ・ドッグが「最近のラッパーはみんな同じラップをしている」と嘆いていたことが記憶に新しいが、若い世代のラッパーからすると、もはや「出来て当たり前」の定番フロウと言えるかもしれない。

三連符とは

三連符は全音符を三分割した音符を言い、専らヒップホップにおいては一拍を三つに分けてラップすることを指す。このフロウ自体は1987年には既に存在こそしていたものの(Public Enemy「Bring The Noise」)、実際に流行の先駆けとなったのはアメリカのHIPHOPグループMigosとされ、そのことから”Migos flow”と呼ばれることもしばしば。

 

Migosに影響を受けたと思われるラッパー達が続々とこのスタイルを取り入れ、2017年には三連符を前面に押し出した楽曲の数々がメインストリームを席巻した。

 


(2017年に再リリース)

 

日本ではKOHHがいち早くこのスタイルを楽曲に取り入れ、AKLOやSALUもそれに続いた。

 

その後徐々にMCバトルなどのフリースタイルにおいても取り入れられるようになっていく。「流行りのフロウばっかり」、「三連も出来ない奴」などというように、MCバトルにおいてはしばしばこの三連符そのものがバトルのトピックになることもある。

 

トラップのBPM

BPM – Beats Per Minute
テンポの単位 – 一分間の拍数のこと。音楽用語。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

つまり、BPMが60の曲は一分間に60拍であり、一拍あたりの長さが一秒となる。三連符が多用されるトラップのBPMは40~70程で、速くても80台。BPM150オーバーが当たり前の日本の現行のポップスと比べるとかなり遅いことが分かる。BPM70というともはや完全にバラード曲である。例えばaikoの「カブトムシ」。

 

 

この曲のBPMが74である。遅い。

コンサートホールで腕を掲げ、右に左にゆっくりと振っている観客が目に浮かぶほどには遅い。しかし、実際に同じぐらいのBPMのトラップでそんな横ノリをしていたら笑い者である。

同じBPMなのにノリ方が違う。これはどいうことかというと、トラップの場合リズムを倍で取っているのだ。BPM70であれば実質的にはBPM140。これが所謂「倍で取る」「倍でノる」ということである。

 

三連符のやり方

Step1.タタタ

次の音に合わせて、丁度ドラムの音と一拍の頭の「タ」を重ねるようにながら、「タタタ/タタタ/タタタ/タタタ・・・」と声にしてみてほしい。

▼   ▼    ▼   ▼
タタタ/タタタ/タタタ/タタタ

※”▼”に丁度ドラムの音がくる

これが三連符だ。

これはBPM120の音で、ドラムの音が目印として三音の頭に丁度くるため分かりやすい。しかし、実際には目印となる音はこれの半分になるし、「タタタ」部分に言葉を当てはめることになるため、これほど簡単にはいかない。

 

step2.タタタ(BPM60)

先ほどの「タタタ/タタタ/タタタ/タタタ・・・」をBPM60で行う。

▼      ▼
タタタ/タタタ/タタタ/タタタ

 

step3.言葉を当てはめる

ここからは実際に言葉を当てはめていく。

「ニンフォーム最高だよね」

▼       ▼
ニンフォ/オムさ/いこう/だよね

三音の頭にアクセントを付けて発音すると感覚をつかみやすい。「オムさ」なんて単語はないが、あたかもそういう単語があるかのように発音する。しかし、日本語として不自然な位置にアクセントを付けると、聴くに堪えないラップになるため、あくまで感覚を掴むために留めておこう。

 

step4.母音と”ん”を省略する

リズムの取り方も分かって、スムーズに言葉も当てはめられるようになったし、これで俺もイケイケの三連符マスターだ!なんて、そうは問屋が卸さない。

実際に言葉を当てはめてみていかがだっただろうか。そう、「なんかおかしい」のである。日本語として妙ちくりんだし、決してかっこいいとは言い難い。これを解消するにはもう一工夫必要になってくる。

まずは違和感の正体から解明しよう。そもそもの話、ラップもそうだがトラップにノせる三連符はアメリカで生まれたもので、英語でフロウするのに合わせて生まれた。

それを言語としての性質が全く異なる日本語で、額面通りに模倣したのではおかしくなって当たり前なのだ。だからこそ、ラップも日本語ラップとして独自に発展したのである。

無論、三連符も同じで日本語で綺麗にハメるにはそれに合わせた日本語を使わなければならない。

では、ただの日本語を三連符用の日本語にするにはどうしたらいいか。これは単純で、日本語を英語に寄せればいい。英語の特徴として、日本語に比べて音節が少ないというものがある。

 

音節(おんせつ)またはシラブル(英: syllable)は、連続する言語音を区切る分節単位の一種である。典型的には、1個の母音を中心に、その母音単独で、あるいはその母音の前後に1個または複数個の子音を伴って構成する音声(群)で、音声の聞こえの一種のまとまりをいう。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

要するに母音の数=音節の数となる。厳密には完全なイコールではないが、ここでは煩雑になるため省略させていただく。日本語は母音単体(あいうえお)と、”ん”以外の音は全て、子音+母音で構成されているため、否が応でも音節は多くなる。この音節の多さが三連符をする上で障害となっているのだ。

この障害を取り除くために、母音と”ん”を省略する。

ここでいう母音は母音のみで構成されている音(あいうえお)を言う。”子音+母音”の母音は含まない。

step.3の例であれば、次の通りだ。

 

▼       ▼
ニンフォ/オムさ/いこう/だよね

▼       ▼
ニフォム/さこだ/よね /

 

これは少し大げさで、実際には完全に発音しないのではなく、「ほとんど発音せずに前の文字にくっつける」イメージである。

 

フォム/さだ/よね /

 

こうすることで日本語が英語の性質に近づき、そのまま日本語で三連符するよりもはるかに自然で綺麗にハマる。

また敢えて省略しないという選択肢もある。

 

フォム/さこう/だよね/

 

母音である”う”を敢えて省略しないことにより、拍の終わりと言葉の終わりを揃えることが出来る。

 

point1.三音と三音のあいだに間はない

ここからは三連符について勘違いしてしまいがちなをポイントをいくつか解説する。三連符のバリエーションに関わる内容となるため、こちらもしっかり理解しておくといいだろう。まず、三連符は1拍に三音ずつはめ込むことから、次のようなイメージで捉えてしま人がいる。

タタタ タタタ タタタ タタタ

三音ごとに間(ま)を取って考えてしまうのだ。しかしこれは間違いで、三連符はあくまで1拍を”三等分”しているため、実際には三音と三音とを区切る間はない。

 

point2.アクセントや音程は自由

三連符と聞くと「タカタタカタタカタター」というリズムであまり抑揚のないロボットのようなフロウを思い浮かべる人が多いかもしれないが、音程やアクセントを置く位置は自由である。これは三連符のバリエーションが無数に存在することを意味する。是非色々な三連符に挑戦してみてほしい。

 

point3.休符があっても三連符

先述した通り、三連符はあくまで一拍を”三等分”するリズムの取り方である。三等分したあとに言葉を入れるか入れないかは自由なのだ。

 

タタタ/タタタ/タ タ/タタタ

 

例えばこれの三拍目。これも立派な三連符だ。

 

タタ /タタタ/タタタ/タタタ

 

これの一拍目も・・・

 

タタタ/ タタ/タタタ/タタタ

 

これの二拍目も全部三連符である。

”三音入っている=三連符” ではないことに留意してほしい。このポイントもpoint.2と同様、三連符のバリエーションを左右する大事なポイントであるため、しっかり抑えておくといいだろう。

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